常に傍らにいた通訳者が、オシム氏の日本での足跡を克明に記した迫真のドキュメント。
日本代表監督としての軌跡、闘病の日々、日本サッカー協会アドバイザー就任から離日まで、その全期間923日の活動と発言を時系列で描く。オシム氏の思想とフットボール哲学、サッカー界への提言を伝える。はじめて明かされる闘病の記録が、胸を揺さぶる。
構成――時間軸に沿い、「人生」「スタイル」「リスク」「個の力」「誇り」「自由」「エスプリ」「勇気」「希望」「魔法」など、主題設定の29章から成る。
セルビア・クロアチア語に通暁する著者が、オシム氏の人柄と思想の真髄を伝える。コミュニケーション精度の高さゆえ、類書とは一線を画するもの。
すべてのオシム・ファンとサッカー愛好者に贈る書。
923日間の真実。
オシム氏の日本代表監督就任から離日まで、その全期間923日の活動と発言より一部抜粋。
プロフィール
[著者]千田善 Zen Chida
1958年岩手県生まれ。国際ジャーナリスト、通訳・翻訳者(セルビア・クロアチア語など)。旧ユーゴスラビア(現セルビア)ベオグラード大学政治学部大学院中退(国際政治専攻)。専門は国際政治、民族紛争、異文化コミュニケーション、サッカーなど。新聞、雑誌、テレビ・ラジオ、各地の講演など幅広く活動。
紛争取材など, のべ10年の旧ユーゴスラビア生活後、外務省研修所、一橋大学、中央大学、放送大学などの講師を経て、イビツァ・オシム氏の日本代表監督就任にともない, 日本サッカー協会アドバイザー退任まで(2006年7月~2008年12月)専任通訳を務める。サッカー歴40年、現在もシニアリーグの現役プレーヤー。
著書:『ワールドカップの世界史』(みすず書房2006)、『なぜ戦争は終わらないか』(みすず書房2002)、『ユーゴ紛争はなぜ長期化したか』(勁草書房1999)、『ユーゴ紛争』(講談社現代新書1993)ほか。訳書:G・カステラン/A・ベルナール『スロヴェニア』(白水社・文庫クセジュ2000)、G・カステラン/G・ヴィダン『クロアチア』(白水社・文庫クセジュ2000)ほか。
イビツァ・オシム(イビチャ・オシム) Ivica Osim
- 1941.5.6
- サラエボに生まれる。
- 1954-1959
- ジェリェズニチャル・サラエボのユースチームに在籍。
- 1959-1970
- ジェリェズニチャルのトップ・チームでFW、MFとして活躍。
- 1964
- ユーゴスラビア代表として東京オリンピックに出場、ベスト8。
- 1968
- 欧州選手権(イタリア大会)にユーゴスラビア代表として出場、準優勝。大会ベストイレブンに選出される。1964~68年の5年間にユーゴスラビア代表で16試合出場、8得点。
- 1970-1978
- フランス時代。RCストラスブール、スダン、ヴァランシエンヌに所属。
- 1978
- 選手としての現役引退。ジェリェズニチャルの監督に就任(1978‐86)。
- 1984
- ジェリェズニチャル監督としてUEFAカップでベスト4に進出。
- 1982-1984
- ユーゴスラビア五輪代表コーチを兼任。1984年ロサンジェルス大会で銅メダル。
- 1986-1992
- ユーゴスラビア代表監督を務める。
- 1990
- ユーゴスラビア代表監督としてイタリアW杯、ベスト8。
- 1990-1992
- ユーゴスラビア代表監督とパルチザン・ベオグラード監督を兼任。パルチザンではカップ戦優勝1回。1990年に来日し日本代表と対戦。
- 1992.5.21
- ユーゴスラビア代表監督辞任。
- 1992-1994
- パナシナイコス・アテネ(ギリシャ)監督に就任。カップ戦優勝3回。
- 1994-2002
- シュトゥルム・グラーツ(オーストリア)の監督に就任。リーグ優勝2回、カップ戦優勝3回、チャンピオンズ・リーグ出場3回。
- 2002
- 国際サッカー連盟(FIFA)技術委員として日韓W杯の分析を担当。
- 2003.3-2006
- ジェフユナイテッド市原(現・千葉)の監督に就任。2005年にナビスコビスコカップ優勝に導く。
- 2006.7.21
- 日本代表監督就任。
- 2007.11.16
- 脳梗塞で倒れる。闘病~リハビリの日々。
- 2008.6.4-2008.12
- 日本サッカー協会アドバイザーに就任。
- 2009.1.4
- オーストリアに帰国。
[写真]大友良行 Yoshiyuki Ohtomo
1941年生まれ。横浜市在住。
朝日新聞編集局写真部記者として長く活躍の後、現在は、サッカー、野球などスポーツ取材を中心に幅広く活動している。
[写真]宇都宮徹壱 Tetsuichi Utsunomiya
1966年生まれ。東京在住。
ノンフィクションライターとして、サッカーについての著書も多数あり。『幻のサッカー王国』(勁草書房1998)、『ディナモ・フットボール』(みすず書房2002)、『股旅フットボール』(東邦出版2008)、『フットボールの犬』(東邦出版2009)ほか。
オフィシャル・ウェブサイト「徹壱の部屋」